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2006年8月29日 (火)

切れない包丁ほど痛い

Blade_1ティールの一般的な評価と言えば、ややもすると高域寄りのいわゆる「ハイファイ調」だ。型番で若干の性格は異なるが、ティールやウィルソンなどハイスピード・ワイドレンジを標榜するスピーカーが、残念ながらこういった評価を受けやすい。実際、多くのオーナー諸氏が日々これらと格闘する姿も見てきた。結局、各人の好みなのだが、ティールについては、ツイータの耳障りな感触の攻略に手を焼いて手放す方が多いようだ。

しかし、聴感上のS/Nを上げること音のエッジを繊細に研ぎ澄まし、また上下の再生周波数レンジをできるだけ確保することで、この問題を回避できるのではないだろうか。耳障りな帯域のレスポンスを拡大なFレンジの中で相対化できれば成功だ。モノの例えで言えば、切れ味の鈍い包丁ほど指を切ったときに痛いのでは、と考える。繊細に切れ込む高域は耳に痛くないものだ。コンポーネントやアクセサリー、そしてセッティングを含め、高S/N化、広帯域化を阻害するボトルネックを虱潰しに排除していく。

この過程では、ひとまず味やコクといった要素は求めないほうが懸命だろう。まずはベクトルを振ることなく、まっしぐらに一つも二つも上のステージまでシステムのグレードを上げるのだ。素材の旨さで勝負しよう。味付けは、ほんのりと最後でいいのではないか。その方が、結果的に素晴らしい一品となるのではないか。

和紙・絹被覆のAg/Pt線は、ボトルネックの排除と再生音のグレード向上に大いに貢献してくれた。作り方にもよるが、貴金属線からは高S/N、広帯域な再生音が得やすいと思う。特にPt線は、繊細に切れ込むエッジを実現する一方で、その線径からは想像もできないような和太鼓の皮のウネリまで表現してくれる優れものだ。

毎度ながら、上記は自分流のアプローチとご理解いただきたい。レスポンスのフラット化にはイコライザーが有効だし、広帯域化にはスーパーツイータやスーパーウーファーが決定打となるだろう。ただ、これらに手を出せるのは、アガリ宣言を出せるレベルのツワモノ愛好家に限られよう。経験のみならず、それに見合った再生環境も必要だ。

私を含む途上マニアにとっては、メインスピーカーを鳴らすシステム、つまり本丸の攻略が先決ではないかと考える。核となる再生系を煮詰めずにいたずらに付加装置に走るのは、かえって遠回りにならないだろうか。

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