自分流・ケーブル

2006年12月27日 (水)

食いつき

Neutオーディオケーブルを語るとき、「食いつき」という表現がしばしば見受けられる。ケーブル端子が機器側のインレット端子にしっかりフィットするかどうかで再生音のニュアンスが結構変わるので、音質改善のポイントとして重要視されているわけだ。

経験から言えば、食いつきの強さは音場空間の立体感の向上に効くようだ。音のエッジのニュアンスが繊細になり、空間感が出てくる。セッティング一般にも言えるかもしれないが、端子の固定は予想以上に効くので、電源BOXとケーブル端子をタイロッドで縛る「SMオーディオ」を実践する人もいる。

しかし、過度な固定強度は機器を壊してしまうこともある。昨今のハイエンドケーブルは硬く重いので、端子の結合が密になればなるほど機器のインレット端子を固定する個所に負担がかかる。何事も過ぎたるは・・・である。

インターコネクトにおいても、RCAのNeutrik Profiなどはかなり強烈な食いつきなので、長期の使用で受け側がぐらつくことも多い。機器側のRCAメスが数個一組で基板から立ちあがっている廉価タイプでは心許ない。各々が背面パネルを挟む形でネジ止めされていることを確認したい。

また、これもやってしまうマニアが多いのだが、過度のネジトルクにも気をつけるべきだろう。適性トルクに関する技術資料をいろいろ斜め読みすると、意外に適性値は低いものだ。少なくとも、オーディオマニアはヤリスギのきらいがある。スピーカーケーブルのバインディングポストのナットの締め過ぎでネジ山を破損してしまうのは典型だろう。

スピーカーユニットのトルク・アラインメントは再生音に非常に影響するようだ。トルクレンチを使ってきちっと適性値に統一することでバシッとフォーカスが合うそうである。自分は残念ながらまだ調整していない。怖くてやっていないというべきか(^^;;

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2006年12月 8日 (金)

ガチンコ勝負@1R

UENOさんの「刺客」電源ケーブルの音を聴いてみた。あまり通電はできていないので、あくまでもファーストインプレッションとしてご承知いただきたい。

UenocblDACのDeliusに挿入。相方P-70には3φ銀単で電源供給。24/176.4 デュアルAES接続には、絹メッシュPt+Al+Ag線をタンデム使用している。外部単体クロックは使っていないので、P-70がマスター、Deliusがスレーブという構成。DAC直結でJRDG Model 10→CS2.3と続く。

第一声。これはまた辛口なケ-ブルだ。拙宅のシステムから近年まれに見る「最右翼」なサウンドを叩き出した。情報量、解像度、力感、スピード感、安定感、どれをとっても高次元なステージに達しているようだ。また、眉間に音のビームが突き刺さるような、痛いほどのピンフォーカス定位も特徴とみた。

ひとことで言えば「ストレートパンチ」だ。危うくKOを食らうところだった。電ケー版YG Anat Referenceと呼んでもいい。非常に男性的なイメージを持った。拙宅のレギュラー銀単線が、女性的に、色彩豊かにほんのり甘く香るようにさえ感じられる(^^;

これはUENO氏のサウンド志向に合致するものなのだろう。製作者が「これがイイ!」と感じる音が反映されてこそ自作品なのだ。実際、第三者から伝え聞くところではUENOさんは高解像度志向だから、今回のケーブルのベクトルにも納得がいく。

Fouplay_1この種の試聴では定番である、Fourplayの"Between the Sheets." 1曲目冒頭のタイコのインパクトに非常に安定感があり、それに続く音の波紋が空間に広がっていく様が木目細かく描かれていてとてもリアルだ。概して爽快なフュージョン系にはスキッとよく似合うケーブルだと感じた。

次に、最近の愛聴盤であるオリビア。女性ヴォーカルはある意味「鬼門」なのだが、勢いが良すぎるのか若干違和感も。。アンニュイな、もやもやっとした気だるい表現は、あまり得意でないかもしれない。この辺りのニュアンスが伝わるような能力が加われば怖いものなしだろう。

もっとも、ブレークインも進んでいないだろうし、端子がエソテリックのド級品ということで、プラグの音が支配的なのかもしれない。経験から言えば、端子は高額かつ多層メッキなどで手が込んでくると、自己主張も激しくなるようだ。

Ueno_1導体は相変わらずナゾである。激辛のファーストインプレから想像するに、何らかのエキセントリックな元素が絡んでいる気がする。少なくともPt純金属や極太銀の音ではないようだ。。。

引き続き吟味したい。

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2006年12月 5日 (火)

刺客@100VAC

Ninja今夜、モアのUENOさんから「刺客」が送られてきた。

新作の電源ケーブルということだが、両端プラグがエソテリックのド級CN-PC80であること以外は、その内容は明らかにされていない。市場価格に換算すると、自作ケーブルとしてはドエライものを受け取ってしまった(^^;

このケーブルはclef氏を経由して到着したのだが、「うるさ方」の我々を真っ先にreviewersに選んだとことからも、これはUENOさんの自信作と思われる。音出しは後日に始めたいが、非常にヤバイ予感。ACと言えば極太絹巻銀単線という私に対する「道場破り」と受けとめよう(^^;;

このように作品を送りつけあって(笑)あーだこーだとやるのは自作派の楽しみの一つだ。UENOさんとはオンラインでもう何年ものお付き合いになる。彼は兵庫の岡山方面にお住まいなのでナマでお会いしたことはまだないが、ケーブルのみならずスピーカーやオーディオ別棟、そして自分の「エンブレム」まで作ってしまうスジガネ入りの自作派だ。

早速、外皮を切開してみる。。。。ウソ

梱包を開けると、カーボン繊維に身を包んだエソプラグが黒光りしている。ワインレッドのジャケットとのマッチングが渋い仕上がりだ。さすがにシッカリした作りの端子だ。拙宅定番のヤワなマリンコプラグとはかなり感触が違う。

触診したが、何となく極太Agのような太い地金をツイストしてあるようだ。Alも入っているかもしれない。それとも、純金属ではなく合金だろうか。。。

はてさて、どのような音が出るやら......とにかく通電しておこう。

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2006年11月15日 (水)

妄想配線

CVが開通したのは嬉しいことだが、にわかに仕事が忙しくなり、未だに新生システムの第一声を聞くことができない。世の中とは皮肉なものだ。

このような状態で次のことを考えるのも時期尚早だが、CVから機器への供給部分は皆さんどのように処理されているのだろうか。CVをリスニングスペースまで通されている方がどのくらいいるかよくわからないが、教えていただければと思う。

壁コンという形でスタートしたものの、壁からCV直出しで電源タップBOXに導くという意見もあるだろう。電気設備のルール的には、壁から直出しはいけないと聞いたことがあるが、実際マニアは何でもやってしまうのであまり気にしていない(^^;

幸い、壁の中で14sqには余裕を持たせてカーブさせているので、直出しで引っ張る程度の長さは十分にある。壁コンという余計な接点を排除できるのだから、音質的には良さそうだ。

Padただ、機器への供給にはタップで分配せざるを得ないので、その分の変化の因子は考えねばならない。しゅうへいさんが私を「人柱」にしようとプッシュしておられるPADのコンセントCyroMag-SSD2などはCP比的に面白そうだ。自作BOXに組み込んでみようか。

その先のケーブルは音質的には何が良いだろう。極太銀を介在させた方が良いのか、それとも、同じCVで電源ケーブルを作るのが本筋なのか。。。。

妄想は膨らむ一方だが、まずは目先の雑事を済まさねば。。

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2006年10月18日 (水)

Power Max vs 付属AC

Cabvs2かねてから懸案だったアコリバのPower Max 5500電源ケーブルをいつものシステムで吟味することができた。繊細な空間描写を損なわずに低域の量感を増強してみたい気持ちで購入してそのままになっていたケーブルである。先日サクッと試した結果からも期待があった。

もっとも、当初の狙いはその後DENKEN DA-7100HGクリーン電源を導入したことで概ね達成されている。その意味では「休眠アイテム活用法」という観点でDENKENへの電力供給に使ってみた比較だ。上流機器への直接挿入は定番の3.0φAgに比して音が甘くなるのが予想されたので避けた。

相手はDENKENの付属AC。巷の評判では意外と評価が高い。実は私もこの付属ケーブルを侮れない一本と考えている。見た目はごくありがちな一体樹脂成型のプラグ両端で、外皮も柔らかく取り回しやすい。

ブラインドでもなく、複数人による比較でもない試聴なので、正直「主観」でしかないのはお約束であるが、結局自分が気に入るかどうかが全てなのだと思う(笑

リー・リトナー、ラリー・カールトンの最新録音盤からコダーイの無伴奏チェロソナタまでいろいろ聴いてみたが、結論から言えば付属ACが良かった。

Power Maxは、全体的な柔らかさや低域の豊かさは概ね予想通りの方向だったが、残念ながら高域に付帯音があるようだ。ハイハットなどがいくぶんシャラシャラと人工的な感触になる。もっとも、本物もシャラシャラした音なので、線引きは非常に微妙だ。

また、予想外のことだったが、空間の立体感が付属ACよりも平面的に感じられた。この付帯音と関係しているのだろうか。

端子の要因もあるかもしれない。片端のフルテックのプラグはロジウムメッキ品である。もう片方はL型のハッベル普及品だ。また、バーンインがそれほど進んでいないこともあるかもしれない。付属ACは日常的に通電されているので馴染んでいると言えるだろう。

これでPower Max 5500に「最後通牒」というわけではないのだが、このケーブルが拙宅に馴染むまで根気良く使う気もないので、付属ACに軍配アリとしたい。

付属ケーブルはローコスト品をオマケ的に付属させるのが常だと思うが、中には瓢箪から駒のような無名の秀作が隠されていることもある。いたずらに市販ブランドケーブルを漁ることもないかもしれない。

オーディオ再生と電源の関係は本当に不思議だ。言い古された表現ではあるが、発電所から延々と供給されてきた電気がなぜ最後の数メートルで音の違いを生み出すのか。考えても仕方ないが、私にとっての事実であることに変わりはない。

余談になるが、比較の際に差し替えを10回くらい繰り返して体が疲れた。「ケーブルで音は変わらない」と決め込んでじっと何もせずに座っていられたら、何と楽なことだろう。

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2006年10月 9日 (月)

Power Max 5500

Pm5500三連休の中日。娘の幼稚園の運動会も快晴の中、無事終了。全国のパパ・オーディオマニア諸兄も同様の一日を過ごしたのではないかと想像する。

ケーブルを整理していて見つけたのが、アコリバのパワーマックス5500という切り売り電源ケーブルだ。今年前半に製造終了になったそうだが、以前から購入して放置していたものだ。

安かったので衝動買いしたクチだが、リールの最後の中途半端な長さだったらしく、実測1.5mモノを1m価格で購入してあった。オヤイデや大雄電線が製造に関っている模様。お世辞にも品の良いシースカラーとは言えない。

暇にあかせてマリンコの無メッキプラグを装着。あいにくDACが入院中なので本格的なテストとはいかないが、P70のデジタル出力を普及MDプレーヤーのDACに入れて「連休中の応急システム」とした。これでもオーディオができないよりはマシだ。

P70に挿して3φAg線と比較してみた。極太銀がガッチリ引き締めて音を立ててくる方向であるのに対し、PowerMaxは水道の蛇口を開放したような感覚。量は多いが緩いというか太いというか、これはこれで悪くはないかもしれないが、AC系が銀統一された拙宅システム向きのベクトルではないようだ。

次に電源ユニットのDENKEN DA-7100HGに装着。これは悪くない。緩慢な方向にシフトするが、上流機器に挿した時ほど後退した感じがしないのが良い。適度なブレンド感があり、繊細かつキリッとした部分と量感豊かな部分の双方が感じられる。

御茶ノ水のとあるショップのブログでPowerMaxの生産完了を惜しむ声が聞かれたが、なるほどこういうことかと思った。それ自身で音が完成してしまう製品ではないかもしれないが、組み合わせで生きてくるタイプなのだろう。Delius退院後に本格的に試してみたくなってきた。

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2006年10月 3日 (火)

足元にご注意

Flcable言うまでもないことだが、オーディオシステムにはケーブル配線が必要で、その一部は必ず床を這う。ライン系は機器間の距離も短く、空中配線が可能だが、電源系とスピーカーケーブルはどうしても配線距離が長くなるものだ。

正直、とても目障りである。かなりのオーディオ・ヲタクである私自身が見ても、目障りだ。機器が増える度に少なくとも電源1系統は増えるので、計画性をもってシステムを発展させないととんでもない事態に発展しかねない。家内の不平はもとより、子供がつまづいて怪我でもしたら目も当てられない。

試聴室のようなレイアウトを展開できれば良いのかもしれないが、リビングで音楽を聴く環境ではなかなかそれも許されない。また、拙宅ではオーディオの他にも8DFB等の高周波同軸を屋外から数系統引きこんであるので状況はさらに厳しい。

では、オーディオケーブルをまとめたり、壁を這わせたりすれば良いかと言えば、概して音が悪くなるようだ。自然なカーブでケーブルに機械的ストレスをかけずに、最短距離で到達するのが理想的だと思う。

センターラック配置は比較的スッキリまとめる方法かもしれないが、音場の展開を阻害しがちだ。特に自分は奥行き重視なので左右のSP間には何も置かないセッティングにしている。背の高いラックが中心に来ると、音像の絞込みが乱れるし、前に出てきてしまう。ラックはあくまでもリスニングポジションのサイドに置きたい。

いろいろ熟慮した結果、オーディオを聴くときにだけスピーカーケーブルがリビングを縦断してパワーアンプに繋がるスタイルとした。そうすることでSPケーブルを延々と部屋の周囲を這わせた場合と比べて距離を4mと短くできた。また、長い伝送経路の途中で電磁的な障害を受ける危険も減る。

以前にもご紹介したが、SPケーブルにはしなやかで取り回しの良いSony Music Studio Cableを使用している。ここが3.0φAgだと、どうしょうもない事態になっていただろう。もっとも、極太銀単線ならどういう再生音になるかは興味深いが、知らぬが仏かもしれない。

多少の面倒を背負うことになったが、音質的な妥協をせずに比較的スマートな生活空間を確保している。こうした環境でヴィジュアルも手がけている方々はどのようにパフォーマンスと生活空間との妥協点を見つけているのだろうかと興味深い。

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2006年9月29日 (金)

極太銀線

Agac2dCS Deliusが前回のような状況なので、外した電源ケーブルを久々に観察してみた。ご承知のように、拙宅システムでは電源系は一部を除いて全て和紙・絹巻き3.0φAgで統一されている。

ご覧のように針金を曲げたような外観になる。いったん形をつけると戻ったりしないので、機器のレイアウトが決まればそれほど使いにくくはない。その点、NBSなどは地獄の苦しみだろう。小型DACなどの場合は浮いてしまうこともある。

居住空間にゆとりのあるアメリカとは違い、日本の家庭環境で曲がらないケーブルは勘弁してもらいたい。その意味で形に馴染む極太Ag線は重宝する。

+-各極線の上から単純に15φ程度のガラスチューブを通してある。音質的な阻害もほぼ感じないので、取り回し上の便宜的な理由でつけたものだ。さらに凝りたければ太いメッシュを絹糸で作ることも不可能ではないが、自分用は必要最小限のことしかしないものだ。何も被せずに絹巻き線が2本平行に走る場合もある。

これまでに和紙・絹巻ACをご覧になったり、あるいは現在お使いの方もあろう。そのほとんどは西の国か東の当方で製作されたものと思われるが、私は普通にニラコさんで入手できる3.0をACの標準としている。

簡単に音質傾向を申し上げれば、反応の機敏さ、解像感、レンジの伸び、押し出し、その他多くの点でランクアップするのが特徴と言えるだろう。もっとも、全体的に引き締める方向に作用するので、ふくよかな音にベクトルを向けたシステムに入れるとかえって痩せた感じがして物足りなくなることがある。逆に、ハイスピードで立体的な音場を求めるいわゆる「現代オーディオ」的な傾向がお好きな方には欠かせない一本となる。

Agacマリンコ製プラグを外してみると、いくぶん表面の硫化が進行しているようだ。この基本単位線は製作してから3年ほど経つので、自然の成り行きだ。絹巻層の下にも多少の褐色が見られるはずだ。しかし、以前に和紙の頁で申し上げたように、和紙マスキングテープを最内周に使用した場合だと今頃は真っ黒だろう。

ただ、これも申し上げたが、やる気があれば硫化が進行しても再度アニールすることで元の白銀色に戻る。それには絹被覆をまず解き、また巻きなおすという苦労が伴うわけだが。もっとも、音質的には硫化しているから何かが悪くなったと感じることはないと思う。

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2006年9月24日 (日)

合成素材版・6+1=7

61polimer_1一本一本が和紙・絹で絶縁された単線を複数のリッツ線構造として使う場合、6+1=7が有用であることは以前に申し上げた通りだ。しかし、各線の結合や撚りの角度を均一に保つように製作するのは結構大変なのが実情だ。

ここにガラスチューブや最小限の熱収縮チューブを利用することで、かなり楽ができてしまう。音ヌケに若干の妥協が必要かもしれないが、元から相当に研ぎ澄まされたシステムで試聴しない限りは、実使用上の大きなデメリットはないだろうと判断した。

構造断面を見れば、すぐに作り方もお分かりかと思う。2φ程度のガラスチューブ7本を等角度で撚っていき、薄手のヒシチューブで上から押さえるわけだ。こうすることで、曲げがかかった場合でも構造を保持できるようになる。

これはいわば「配管」である。ここに和紙・絹被覆のPtやAl線を通すわけだ。どのポジションに何を通すかはアイデア次第と言えるだろう。シングルエンド、バランスという伝送方法の違いでもベストのポジションは変わってくる。

Stackard_1左図はシングルエンドケーブルのほんの一例だが、HOTとCOLDを2本ずつ用意し、スタッカード構造としたものだ。電力通過時に発生する磁界が互いにキャンセルしあうことから、長尺ラインなどで効果が期待されるだろう。また、電気的にはどこにも接続しないが、ダミー配管に何か別の金属を入れても面白いかもしれない。

Stackard2_1また、中心1本をHOTとし、周囲6本をCOLDで囲んで同軸構造とすることも考えられる。僅かながらもシールド効果が期待できるかもしれない。 ただし、右図ではAlの音が勝ちすぎになるので外周の何本かはAgにすべきだろう。

以上のように、多くの構造パターンが考えられる。製作者の自由な発想で面白いケーブル作りに挑戦していただきたい。

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2006年9月22日 (金)

合成素材との共存

Smtube私のケーブル製作スタイルが天然素材の被覆を中心とすることは、既にご紹介した通りである。しかし、機器内部の基板をはじめ多くのパーツに合成樹脂被覆の配線ケーブルやコネクタやなどが多用されているのも事実だ。その意味では天然素材を錦の御旗に掲げるのはどうかという指摘もあるだろう。

実際、私も最近ではいろいろと樹脂メッシュやチューブなどを最小限の範囲で取り入れている。安全に扱いやすいし、ケーブルの構造も作りやすい。それに何と言っても見栄えが良い。音に妥協するつもりはないが、大きな阻害にならなければ良いのではないかと思う。ただ、この手のチューブ類は幾重にも被せると音ヌケを曇らせるようだ。

地金の鮮度を殺さないように和紙・絹という最小限の天然被覆を重ねるわけだが、絹メッシュ線がプラプラ状態のケーブルは製作者でないと扱いが大変だ。いわば漁師が自分で獲った魚を港でさっとさばいて食するようなイメージだ。一方、慣れないユーザーが扱う場合、鮮度が若干落ちてもチューブ等で安全な取り回しを確保するのが良い。都会のスーパーの魚は体裁良くパッケージ化されているが、鮮度は漁師の獲った魚には敵わないのと似ているかもしれない。

このようなことから、自分のシステム背面はかなりプラプラ、である。

自分の経験の範囲ではあるが、主なケーブル材料と傾向をご紹介したい。なお、これらは秋葉原のタイガー無線で入手可能だ。どれも店頭にいつも置いてある。リール買いすると随分お得である。

【スミチューブF】
収縮度は4割くらいか。難燃性Fタイプの仕上厚はゴツめなので、保護や構造保持には向いているが、ケーブル1本をすっぽり覆ってしまうと悪影響が多いと感じた。赤、黒、白、青、黄、など豊富な色が用意されている。色による音質差は試したことはない。

【ヒシチューブ】
スミチューFより薄くぺらぺらで、収縮度も大きい。段差の大きい部分にも上手くフィットする。薄いので音への影響も比較的マイルドに思う。ヒシチューも数色が販売されているが、淡いグレーのものが影響が少ないと感じた。

【SFチューブ(メッシュ)】
一般的な黒メッシュである。最近ではシャークワイヤー製の青、赤、黄、透明あたりも販売されているようだ。振動モードのコントロールや市販ケーブル風の見栄えの為に用いる人が多いと思うが、もとはと言えば、大昔に故長岡鉄男氏がこれに通すと音が良くなったと言い出したのが発端のように記憶している。私は外観上の理由で付けて欲しいといわれる場合を除いてはお薦めしていない。

【シリコンゴムチューブ】
高価で仕上厚はかなりゴツい。ただ柔らかさがある。ほとんど使わないので音の評価はしかねる。黒と灰が用意されているが、後者はTimelord Absoluteケーブルの熱収と同一素材である。

上記はいずれの場合も「必要悪」と考えており、使う場合も一重以上は被せないようにしている。

比較的無難に使えるのはガラスチューブだ。和紙・絹の基本単位線をこれに通して使っても特に悪影響は感じていない。構造を作るときにも便利に使える。白黒が入手可能だが、音質的には白が無難に思う。

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