鼓動
人間の命を支えるのは心臓の鼓動。デジタル機器のそれを司るのはクロック発振器といえるだろう。時間というものがある限り、人であろうと機械であろうと生きるには何らかのタイミングデバイスが必要なのだ。
その精度も千差万別だ。人間界には不整脈だ何だと人体クロックの精度に問題がある場合があるし、水晶だってピンキリである。
私は別の趣味で無線機を弄ることがあるが、大昔から必ず機器にはオプションで高精度クリスタルが用意されてきた。最近の普及レベルのX'talの精度にすら昔は遠く及ばなかったことも「高級版」が用意されていた理由だが、周波数校正を通して精度はアラワになる。
通電開始時からのドリフトや発振器自身のエージングでも誤差が拡大する。周波数カウンタで測定するにも、そのカウンタ自身の精度も考慮せねばならない。ズレた測定器で校正しても結果はズレているからだ。
ご存知の方も多いと思うが信頼性ある測定器ってメチャメチャ高い。周波数カウンタは数十万する。オシロも高い。もちろん安いものもあるが、先のような理由で精度を考えると二の足だ。業務用測定器は一回の校正だけで何十万もかかるらしい。
精度を突き詰めると、何をリファレンスとして信じてよいのか分からなくなる。誰が一番正しいのか、ルビジウム?セシウム?しかし、素子の教科書的なスペックだけでは実使用時の安定度は確保できないだろう。
ところで、幸か不幸かオーディオ機器では音として聴いたときに精度の良し悪しが必ずしも評価に直結しない。もちろん測定して叩けばホコリも出るだろうが、だからといって音としてどうだとか評価できるのだろうか。ましてやそれで音楽再生の良し悪しなど...
オーディオ再生とクロックの関係がしきりに謳われている。フォーカスや見通しが向上するという話だ。真向からクロックの効果を否定するつもりはないが、多くの場合は高精度クロックを入れているから、というアタマがあるからそういう気になっているのかもしれない。
とはいえ、一度でいいからdCS重箱セットをG-0Sでフルシンクロさせてみたいものだ(爆
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